わろてんか十七話の感想「二人の関係」
藤岡家を追い出された藤吉と蔵に閉じ込められたてん。会えない時間が二人の距離を近くしたのでしょうか、ここにきて急に二人の関係に変化がありました、結構な急展開に驚いています。
そもそも、藤吉とてんは昔知り合ったときに何度か会っただけで、それ以降は今回の一連の出来事が起こるまで、直接的な触れ合いはありません。
また、藤吉はちょこちょこりんに手紙を書いてはいましたが、それもあくまでも一方通行のやりとりで、てんにはいかなる手段でも藤吉に接触するチャンスはありませんでした。
そこからのこの流れ、大切なのは時間の長さではなくて中身の濃さということでしょうか。閉じ込められているてんを探して蔵にいる時間が、二人にとってはかけがえのないものとなったようです。
そして印象的だったのは、藤吉がリリコとの会話の中で、てんに惚れてしまった、と白状するところです。恥ずかしながらもハッキリと自分の気持ちを宣言するカッコよさに胸がキュンとしましたが、一方で、え?今やっと気づいたの?!
と突っ込みを入れたくなる気持ちも正直ありました。本人は気づいてなかったのかもしれませんが、物語を見ている人はみんなわかっていたと思います。そんなどこか天然っぽさもある藤吉、実にナイスなキャラクターだと思います。
加えて、今回も親の愛を感じるシーンがありました。藤吉の件でてんを蔵に閉じ込めてから、てんが笑わなくなったと心配していたお母さん。
蔵に閉じ込められていることや、藤吉の件で意見があるわけではありませんが、とにかく笑い上戸のてんがしばらく笑っていないことが気になって仕方ありません。
それを聞いたお父さんも表面上は無関心を装っていますが、内心は心配で心配で仕方ないようで、常に蔵にいるてんのことを気にしていました。改めて、親心の大きさを感じました。
わろてんか十六話の感想「てんの思い」
蔵に藤吉を匿っていることがお父さんにバレてしまいました。知っていた人たちを含めて、全員の前でことの顛末を話すという流れに。もちろん、お父さんは許すはずもなく、お母さんだってとても驚いていました。
でも、きちんとことの顛末と事情を聞き、腹の底から怒っているにも関わらず、直接藤吉本人に物を申すところは、お父さんの家長としての責任とでも言うのでしょうか、それを強く感じて、筋が通っていると思いました。
どんなことであれ、話を聞いたり、したりするということはとても重要だと思います。また、お母さんもいつもながらナイスアシストでした。
お父さんの決めたことは絶対で、口出しはしませんが、いつもてんには寄り添ってくれ、てんの微妙な心理や、何よりてんの笑顔を一番大切に思っていてくれているのがひしひしと伝わってきました。
子供たちのためなら、お父さんにだって意見する強さと、子供達を見守る優しさの両方を兼ね備えた人です。ああいう風に生きられたらいいですね。
そして、藤吉とてんは結局引き離され、二人ともそれが必然であるとは認識していますが、一方で心の中では忘れられない思いもあるようで、どっちつかずの状態が続いています。
てんも自分の予想よりも自分は藤吉のことが気になって仕方ないということに気づいたようで、藤岡家の長女としての使命と、自分の気持ちとの間で揺れていて、どうにもならないようです。
ここにきて急に距離が縮まった二人、これからどうなっていくのでしょうか。
わろてんか十五話の感想「風太」
昨日、まちでのいざこざに巻き込まれ、怪我をしそうになったてん、そこに体を張って助けに入った藤吉、結果として頭を負傷してしまいました。
てんは手当てのために藤岡家の蔵に藤吉とキースを匿います。りんとトキも、助けてもらったからと協力してくれ、ひとまず怪我の状態が落ち着くまではここにいてもらうことになりました。
相手が藤吉だったというのももちろん大きな理由だと思いますが、てんをはじめとした藤岡家の人たちはみんな優しい心を持っているなぁ、と思いました。
助けてくれたお礼をするというのは当然のことかもしれませんが、あそこまでのリスクを冒してできるかと言われると、私はできないと思いました。でも、てんの家は幸いにして薬屋さん、そこは都合が良かったですね。
そしてそんな出来事も、もちろん風太には知られてしまいます。風太は基本的なスタンスとしては匿うことに反対ですが、てんたちの必死の頼みにより、しぶしぶ見て見ぬふりをしてくれることになりました。
私は風太のこういうところが本当に好きです。自分に何の得もなく、むしろ厄介なことに巻き込まれる可能性が高いにも関わらず、みんなのための自己犠牲を厭わないところ、見習いたいです。
そしてそんな人のいい風太は、ついでに伝言のお使いまで頼まれ、もうこうなると風太がすごいのか、風太の性格を知りつくしていて上手くコントロールしているてんがすごいのか、よくわからなくなってきますね。
また、風太とトキの掛け合いもいつも面白くて、楽しく見ています。しかし最後になって、蔵に藤吉を匿っていることがお父さんにバレてしまいました。果たして藤吉の運命やいかに?!
わろてんか十四話の感想「揺れる気持ち」
てんの影響なのか、よく笑顔を見せるようになったお父さん。強面の印象はすっかりなくなりましたが、ここ数日満面の笑みでてんに縁談を強く勧めてきます。
先日、りんに縁談の話が持ち上がったこともあり、順序的にりんより先にてんの縁談をまとめたいという親心を強く感じました。一方で、藤吉との再会により、決心がついたはずの心が再度揺れ始めたてんは、戸惑っていました。
そしてひょんなことからリリコから藤吉の手紙の内容は嘘だったということを告げられ、自ら藤吉の元へ真偽のほどを確かめに行きます。こういうときのてんは相変わらず行動力がありますね。
手紙が嘘だと言われ、動揺するあたりは純粋で、可愛さがある一方で、それを直接本人に確かめに行く度胸と行動力はとても同じ人とは思えません。
なんだかんだいっても自分にしっかりとした自信を持っているからこそ取れる行動だと思いました。そして詰問された藤吉は、旅芸人としての興行については嘘だが気持ちは嘘じゃないといい、なんとも微妙な空気になってしまいました。
ただ、今日は藤吉の出生について新たな事実が発覚しました!なんと、藤吉も老舗の米屋の長男で、事業を継ぐのが嫌で家を出て旅芸人を続けているとのこと。え、ということは、てんとは釣り合います、いや、むしろ後継ぎ同士だからダメか。
なんだかいろいろと複雑になってきました。でも、物語はこうでないと面白くないですよね。ここから本格的に物事が動き出すようで、どんな展開になるのか、想像がつきません。
わろてんか十三話の感想「頭と心」
昨日藤吉と奇跡の再会を果たしたてん、てんはもちろんですが、てんの成長に藤吉の方がびっくりしていて、二人とも心ここにあらずの状態が続いていました。
藤吉は、てんのことを思いながらも自分の身分などわきまえている分、なかなか気持ちの整理がつかないようで、旅芸人仲間のキースにもからかわれていました。
そしててんも、新一兄さん亡きあと、自分が藤岡家を継ぐために、立派なお婿さんをもらうと決意を固めた矢先の出来事だったので、とてもとても心揺さぶられたようで、どうしていいのかわからなくなっていました。
実は両想いなのに、なかなかそこに気付かない二人の初々しさがたまらなく可愛くて、心洗われました。でもそれと同時に、てんはどちらを選択するのだろう、どちらの選択のがいいのか、と考えてしまいました。
自分の気持ちに素直に従うのであれば、藤吉を選ぶと思いますが、家族のこと、家のこと、藤岡家のことを考えると、別にお婿さんを探すのが得策と言えると思います。この問題、昔からあるのですね。
やはり愛だけでは生きていけないのでしょうか。結婚とは愛ではなく、生活ですからね。もちろん、愛がなくていいと言っているわけではありませんが。
私個人の考えとしては、これ以上藤吉への気持ちが高ぶる前に、別にお婿さんを探す方を勧めたいと思います。最後に、風太について言わせてください。
風太はとてもいいキャラクターで演技も上手ですね。今日も風太が出てきた瞬間に目を奪われてしまいました。幼い頃から一切変わっていないあの感じが、とても好きです。
わろてんか第十二話の感想「新一の遺品」
わろてんか12話は、新一が亡くなった後から始まります。長くは生きられない気はしていましたが、いきなり遺影から始まったのにはびっくりしてしまいました。
新一の遺影の前でてんとりんが自分たちの作ったかやくごはんを見せて笑顔でお供えしています。家族に見守られて亡くなった新一の最後の願い通り、家族が笑って過ごすことをみんなで決めたようでした。
その後、藤吉からてんへの手紙が来ないと風太がこぼしていると、てんは藤岡屋を継ぐことを決めていました。てんは伊能氏との縁談を期待しているようです。
しかし、伊能家から結納は断られたことを風太が指摘すると、てんは伊能氏にお手紙を出したと告白しました。返事がないことを話しているところへ、伊能氏がお店に現れました。
儀兵衛が伊能氏に要件を尋ねると、伊能氏はてんから手紙をもらったことを伝えました。なんのことか分からずにいる儀兵衛に、伊能氏は論文を差し出しました。それは新一が書いた論文でした。
新一の遺品を整理しているときにてんが見つけたものでした。儀兵衛は論文を読み始めます。しずも涙を目に貯めながら、論文を覗くように伺っていました。
伊能氏は日本人が画期的な薬を開発したことを伝えました。新一が話していた「これからは輸入や外国と同じ薬を作るのではなく、新薬を開発する時代」は間違っていないと伊能氏は言いました。
伊能氏が薬の開発に投資をしたいと儀兵衛に持ちかけると、儀兵衛は論文を顔に当て涙をこらえながら、伊能氏にお礼を言いました。背後が騒がしい気配をさっして、伊能氏がサッと身をひるがえしました。
襖ごとなだれ込んできたハツは座りなおすと、伊能氏をベタ褒めし始めました。儀兵衛もてんとの縁談もどうかといいますが、伊能氏は丁寧にお断りしました。
伊能氏は自由恋愛に興味があるようです。ハツはりんはどうかと進め、さらに後家でよければ私もおりますとアピールしてみんなが笑いだしてしまいました。
伊能氏の帰宅中、てんが走って追いかけてきました。てんは改めてお礼を言いたかったようです。てんを見つめる伊能氏に戸惑っていると、伊能氏はてんに興味を持っていることを伝えます。
論文に添えられていた手紙が家族への想いにあふれていたので、てんともそういう家族が築けるのではないかと期待しているようでした。しかし、伊能氏はてんが藤吉に心があるところまで気づいていました。
しかし、さりげなく話をそらした伊能氏は、てんともうすぐ薬祭りだという話をして帰って行きました。てんが道端で、とりの飾りを眺めていると、藤吉に再会するところで今回のお話はおしまいです。
わろてんか第十一話の感想「おとうはんを笑わしてくれ」
わろてんか11話は、薬屋が傾き新一は倒れてしまい、家が暗くなってしまったところから始まります。しかし、てんはこんな時こそと明るく台所で祝い膳を作り始めます。
何事かと台所に入ってきた風太は「結納か」とてんの気持ちを察したようでした。てんは「まだ、先の話やしこんなときこそわらわんと」と明るく結納を肯定しました。
手伝おうと風太は唐辛子をすりつぶして、粉が目に入ってしまい大騒ぎしていました。夕方、ハツはてんの結納品の前でぼんやり座っていました。
伊能家からは藤岡屋の騒動を理由に結納をお断りされてしまったようでした。儀兵衛はハツに謝ります。孫がお嫁に行くことには素直にうれしかったのかもしれません。
てんにも結納が断られたことが伝わったようで、風太が茶化そうとしますがトキが必死に止めます。一方、しずは泣きながら儀兵衛に新一の余命があと一週間程度だとお医者さんに告げられたことを伝えました。
儀兵衛は愕然とします。夜、しずはお百度参りをしていると、てんが現れます。しずはあきらめてない様子をみて、てんも「一緒にさせてください」といい、二人でお参りを続けます。
新一の症状が少し落ち着いたようで、元気はありませんが、てんと笑って話ができるようになりました。てんは新一と約束します。「おとうはんを笑わしてくれ」とゆびきりをしました。
使用人が騒いでいるところへ、てんが話を聞くと、儀兵衛が使用人に暇を言い渡した後姿が見えないとみんな心配していました。
蔵では儀兵衛が今にも首を吊るような姿勢でした、てんたちが駆け付けて大騒ぎで全員が止めに入ります。すったもんだの末に、儀兵衛を引きずり下ろしました。
儀兵衛は首を吊ろうとしたのではなく、結納の品をしまおうとしていただけだったことが分かり、てんが大笑いすると、儀兵衛も大笑いしだしました。
みんなで大笑いしている声が新一の部屋にも届き、新一が涙をこぼしながら笑っているところでわろてんか十一話のお話はおしまいです。わろてんか十二話の感想へつづく。